※本記事には、自作の有料noteの紹介を含みます。
ブログの公開ボタンを押す直前は、いつも少し不安になります。間違いが残っていないか。体験談が事実より大きく書かれていないか。読み返したつもりでも、自分の目だけでは見落とします。
そこで私は、記事を公開する前に、自作の「AI委員会」に原稿を見せています。Claude Code(クロ/Anthropic社のAI作業パートナー)のWorkflow(ワークフロー)という機能で、性格の違う5人のAI委員と外部委員が同時に原稿をチェックし、議長役が指摘をまとめて返してくれる仕組みです。
この記事では、①Workflowとは何か、②私の委員会の顔ぶれ(全9役)、③実際に何が見つかったか、をプログラミング未経験の方向けにまとめます。読み終わるころには、「公開前の不安を仕組みで減らす」という使い道のイメージが手に入るはずです。
結論:Workflowは「たくさんのAIを、台本どおりに一斉に動かす」機能
30秒版の結論
・Workflow=複数のAI担当者を、決めた台本(スクリプト)どおりに一斉に動かすClaude Codeの機能。正式名称は「動的ワークフロー」
・台本はAIが書いてくれるので、日本語で「こういうチームを作って」と頼むだけで始められる
・私の使い道は「AI委員会」=公開前の原稿をレビューする審査会。9人の委員プールから原稿の種類で5人を招集し、外部委員1人を加えた6人が読み、議長役がまとめる体制です
ふだんのClaude Codeは、1人の相棒と向かい合って作業するイメージです。それに対してWorkflowは、何人ものAI担当者を呼んできて、決めた段取りどおりに一斉に働いてもらう機能です。誰が何をするかを書いた台本があり、一度作れば、同じ台本に沿った作業を必要なときに繰り返せます。
「台本を書くなんて無理」と思うかもしれませんが、台本そのものはClaude Codeが書いてくれます。私も中身のプログラムを自分で書いたことは一度もありません。頼み方は後半で紹介します。
公式ドキュメントによると、Workflowはバージョン2.1.154以降のClaude Codeで、有料プラン全てで使えます(Proプランは設定でONにする必要があります)。ターミナル版だけでなく、私が使っているデスクトップアプリでも動きます。
似た機能に「スキル」(AIに渡す手順書)があります。違いをざっくり言うと、スキルは1人のAIに手順書を読ませるもの、Workflowはチーム全体の段取りを決めて複数のAIを動かすものです。スキルについては Claude Codeに同じ指示を何度もしない方法 にまとめています。また、前回紹介したEffort(考える深さの設定)とは、「ultracode」という最上位設定で合流します。ここはエンジニア向けの領域なので、この記事では踏み込みません。
私の使い道は「AI委員会」——記事を公開する前の審査会
私のWorkflowの使い道は、ほぼ1つに絞られています。ブログやnoteの原稿を、公開する前に複数のAIに審査してもらう「AI委員会」です。
流れはこうです。原稿を委員会にかけると、性格の違う5人のAI委員が同時に・それぞれ独立して原稿を読み、指摘を出します。そこに外部委員(別のAI)も加わります。最後に議長役のAIが全員の指摘を集めて、「🔴今すぐ直す」「🟡できれば直す」「🟢好みの範囲」の3段階に整理して返してくれます。所要時間を計測できた回では、1回およそ3〜7分でした。

ポイントは「同時に・独立して」の部分です。委員同士は相談できない設計なので、1人の意見に全体が引っ張られにくくなります。別々に読んだ複数の委員が同じ箇所を指摘してきたら、クロに原文や記録との照合を頼み、その結果を見て私が採用を決める——これが私の使い方です。この仕組みは、先日の 話題の”Claude Code最強構成”を裏取りした記事 でも実際に使いました。
「AIに書かせたものをAIがチェックして意味あるの?」と思いますよね。私も最初はそうでした。私が使っているのは、性格の違う委員を分けて、同時に独立して読ませる形です。実際に、毎回ちがう角度の指摘が複数の委員から出ています。
委員会の全9役——うちの委員はこんな顔ぶれ
委員会には、役柄の違う9人の委員が登録してあります。毎回全員が出るわけではなく、原稿の種類によって5人を選んで招集します。まずは顔ぶれから。

① 悪魔の代弁者:前提そのものを疑い、あえて反対の立場から突っ込む係。「この主張が崩れるのはどんな時か」「読者が不信を抱くのはどこか」を探します。
② 辛口メンター:遠慮も忖度もなし。甘い表現・逃げた構成を名指しで指摘します。ただし必ず「こう直す」を添えるルールです。
③ 初心者目線:プログラミング未経験でAIツールをこれから触る読者として読み、「専門用語で置いていかれた」「ここで読むのをやめたくなった」を正直に報告します。
④ 改善提案者:批判ではなく「あと一歩」の担当。見出しの磨き方や、図解を入れるべき位置など、すぐ実行できる改善案だけを出します。
⑤ シニアブロガー:長年ブログで食べてきた実務家という設定で、SEOや読了率、収益への導線を商業目線で評価します。
⑥ 事実監査役:私の相棒AIが過去に実際にやらかした失敗パターン(断言の残存・根拠のない体験談・「正直に書きます」のような前置き宣言など)の再発だけを集中して監査する専門委員です。
⑦ 実務コスト役:その案を「プログラミング未経験の私が一人で回せるか」で評価します。覚えることの量、失敗したとき自力で戻せるか、を見ます。
⑧ リスク監査役:取り返しのつかない操作(公開・送信・削除・課金)が含まれていないか、外に漏れてはいけない情報がないか、の安全担当です。
⑨ 品質番人:作ったものを一流の同種事例と並べて「どこが見劣りするか」だけを評価する係。欠点を根拠つきで3件挙げるまでレビューを終えられない、というルールにしてあります。
この9人を、原稿の種類ごとに5人ずつのチームに編成しています。
| 用途 | 招集する5人 |
|---|---|
| 記事用(ブログ・note原稿) | 事実監査役・初心者目線・シニアブロガー・悪魔の代弁者・改善提案者 |
| 企画用(作業・戦略の相談) | 悪魔の代弁者・辛口メンター・実務コスト役・リスク監査役・改善提案者 |
| 制作物用(LP・アプリなど) | 品質番人・初心者目線・実務コスト役・悪魔の代弁者・改善提案者 |
役の数は「少数精鋭」がちょうどいい
5人編成で運用を始めたあとに、AIに26人の従業員を持たせたような海外事例も調べてみました。行き着いた整理は「実務で機能するのは3〜7役の少数構成」——結果的に、自分の形と近い結論でした。私の実感でも、人数を増やすより役柄の性格をはっきり分けるほうが手応えがあります。
お気に入りは⑥の事実監査役です。過去の失敗を専門に見張る委員を置いて、同じ種類のミスが残っていないか毎回確認しています。失敗の記録が、そのまま委員の「仕事の台本」になっています。
外部委員は別のAI——同じAIだけだと、見落としまで揃う
委員会には、Claude Codeの5人に加えて外部委員の枠があります。いまお願いしているのは、別会社のAIであるCodex(コーデックス/OpenAI社の開発AI)です。当初はChatGPTにお願いしていましたが、ChatGPTを加えた最初の委員会では応答を取得できず、欠席になりました。原因の切り分けがつかなかったため、この記事を書いている日にCodexへ交代してもらいました。
なぜ、わざわざ別のAIを入れるのか。同じAIだけで固めると、得意も苦手も揃ってしまい、見落としまで共有しかねないと考えているからです。そこで設計上、会社をまたいで同じ箇所への指摘が重なったときは、最優先で裏取りする決まりにしています。
実はこの体制が最初に本格稼働したのは、ほかならぬこの記事の原稿レビューでした。Codex委員は初出席ながら、Claude側の委員と同じ箇所を指摘した項目が複数あり——たとえば「外部委員の効果を、まだ確かめていないのに確立済みのように書いている」という指摘です。おっしゃるとおりだったので、この段落自体を、指摘に沿って書き直しています。
この記事のドラフトでも、会社の違う2つのAIが別々に読んで、同じ箇所を指摘してきました。そこは観念して、段落ごと書き直しています。
複数のAIに役割を分けて協力してもらう考え方そのものは、3つのAIを連携させてLPを作った記事 で詳しく書いています。連携の組み方(セットアップの手順)は、有料note 3者を連携させて自分専用「AI事務所」を組んだ4日間の記録 にまとめてあります。
実際に何が見つかったか——人の確認を通過した記事から🔴5件
委員会は2026年7月2日に作り、この記事の原稿レビューを含めて、1週間あまりで7回運用しました。いちばん印象に残っているのは初回です。
対象は、別のAIによる30件のチェックと、私自身の確認をすでに通過していたブログ原稿でした。つまり「もう出せる」と思っていた原稿です。そこから委員会は🔴(今すぐ直す)レベルの指摘を5件出してきました。クロが原文や記録と照合したところ、うち4件は実在する問題でした。代表的な3つを挙げると——
- まだ作っていないnoteを、現在形で「販売中」のように紹介していた(リンク先も存在しない状態)
- 「盛りません。」という前置き宣言が残っていた(正直さは宣言せず中身で示す、が自分のルール)
- 出どころを書いていない数字が使われていた
どれも、読んだ人の信頼に直結する見落としです。過去の失敗集 で書いたような「AIなら大丈夫」という油断が、チェックの工程にも潜んでいたわけです。
一方で、毎回大量に見つかるわけではありません。note原稿で11件の修正が入った回もあれば、私の過去の失敗パターン(7つの型)に限れば違反ゼロと監査された回もありました(別の細かい指摘はこの回もありました)。ゼロという結果にも「第三者の目を通してゼロだった」という価値があると感じています。

「二重チェック済みの原稿から、さらに5件」は正直こたえました。でも公開後に読者に見つけられるより、公開前に委員会に見つけてもらうほうが何倍もいい。そう思って続けています。
効果と限界——「通せば安全」ではありません
一方で、この仕組みにも限界があります。
注意しておきたい3点
① 委員の指摘も、鵜呑みにはできない——指摘には、たまに外れも混ざります。初回の🔴5件も、裏取りの結果、実在したのは4件でした。指摘を受けたら、原文と記録に当たって確かめてから直す。この一手間は省けません。AIは自分のミスに気づけない、という性質は AI丸投げで失敗した記事 で書いたとおり、チェックする側のAIにも当てはまります。
② 消費は大きめ——1回の委員会で6人のAIが同時に働くので、AIの読み書き量(トークン)はそれなりに使います。この記事のレビューの実測では、議長を含めて1回で約53万トークンでした(トークン=AIが読み書きする量の単位です)。そこで私は、委員は軽めのSonnet、議長だけ上位のOpusという配役に固定しています。プランの使用量の考え方は Claude Codeの料金記事 にまとめています。
③ 原稿は外部に送られる——レビューにかけた文章はAI各社のサーバーに送信されます。未公開の個人情報や、仕事の契約文書などは、そのまま委員会にかけないようにしています。
そして、いちばん大事な前提がこれです。
ご注意:最終判断は人間の仕事です
委員会を通しても、「間違いが残らない保証」にはなりません。本記事の仕様・機能の記述は執筆時点(2026年7月)のものです。AIツールの仕様は短い期間で変わります。公開する文章の最終確認と責任は、AIではなく書き手自身が持つ前提でお使いください。
未経験でも真似できる始め方
「プログラムの台本なんて書けない」という方へ。冒頭に書いたとおり、台本はClaude Codeが書いてくれます。私がやったことは、日本語でこう頼んだだけです。
今日から試せる頼み方(3ステップ)
1. Claude Codeに「性格の違う5人のAIに、私の文章を同時にレビューさせる仕組みを作って。ファイルは読むだけで、勝手に書き換えないで」と日本語で頼む
2. できあがった仕組みで、公開前の文章を1本レビューしてもらう
3. 気に入ったら「これを保存して、いつでも呼べるようにして」と頼む——次からは自分専用の命令として呼び出せます
コストが気になる場合は「委員は軽量なモデルでやって」と一言添えると抑えられます。外部委員(別会社のAI)はつなぎ方の設定が要るので、最初はClaude Codeだけの5人構成で十分です。
保存した仕組みが将来のアップデートで動かなくなったときも、また同じように「直して」と日本語で頼む前提でいます。台本の中身を自分で覚えておく必要はありません。
委員の性格づけ(どんな役を、どんな言葉で設定するか)や、外部委員のつなぎ方には、この記事に書ききれない工夫がいくつもあります。このあたりの実物は、いずれ別のnoteにまとめようと考えています。仕組みづくりの入口としては、無料で読める スキル&Hooksの作り方note から入るのがおすすめです。
「そもそもClaude Codeを触るのが初めて」という方は、始める前に不安だった3つの壁の記事 と CLAUDE.mdの記事 が入口になるはずです。
最初の委員会も、私は「作って」と頼んだだけで、その日のうちに動きました。凝った仕組みに見えて、入口は一言の日本語です。
まとめ:公開前の不安は、仕組みで減らせる
Workflowは「たくさんのAIを台本どおりに一斉に動かす」機能で、エンジニア向けの解説が多い領域です。でも私のように、公開前の原稿を多人数でチェックする「AI委員会」という使い道なら、プログラミング未経験でも日本語だけで始められます。
今日の行動はこの3つから
① 公開前にチェックしてほしい文章を1本選ぶ
② Claude Codeに「5人のAIに同時レビューさせる仕組みを作って」と頼んでみる
③ 出てきた指摘を、鵜呑みにせず1件ずつ確かめてから直す
公開ボタンの前の「これで大丈夫かな」は、ゼロにはなりません。でも、ひとりで抱える不安から「6人で見た上での判断」に変わりました。この違いは大きいと感じています。
複数のAIを連携させる組み方や、日々の仕組み化の入口は、本文の途中で紹介した2つのnote(有料の「AI事務所」記録と、無料のスキル&Hooks入門)にまとめています。あわせてどうぞ。

コメント