Claude Codeの/advisorとは?実行役AIに”参謀”をつけて9回実測した結果と落とし穴

AIに参謀をつける——Claude Codeの/advisorを9回実測した記事のアイキャッチ。作戦盤を囲んで参謀AIが「ここは確認しよう」と助言している

※本記事には、自作の有料noteの紹介を含みます。

「速いAIに作業させて、賢いAIには要所だけ見てもらう」。そんな使い方ができる/advisor(アドバイザー)という機能が、SNSで「参謀」「軍師」と呼ばれている——という紹介を見かけました。

作業のぜんぶを高いAIにやらせるのはもったいない。でも安いAIだけだと、判断のところが心配。その間を取る発想は、本当に動くならかなり魅力的です。ただ、私が見かけた紹介投稿には、公式の資料と食い違う数字も混ざっていました。

そこで、自分のブログ作業を題材に、Claude Codeと一緒に9回実測しました(公開の直前にも追試を3回行い、結果を本文に反映しています)。検証セットの自動実行はClaude Codeに任せ、実際の画面での動作確認は私が担当する分担です。この記事では、①/advisorとは何か、②実際にやってみて助言がどう効いたか、③うまくいかなかった組み合わせ、をプログラミング未経験の方向けに、実際の画面つきでまとめます。

目次

/advisorとは?——実行役のAIが、要所で「同格以上のAI」に相談する機能

30秒版の結論
・/advisor=作業を進めるAI(実行役)に、相談相手のAI(参謀)を1人つけるClaude Codeの公式機能。参謀は同格以上のモデルから選ぶ
・私が試した2種類の作業では、相談はこちらから頼まないと起きませんでした。頼めば、参謀が実行役の間違いを実際に見つけてくれました
・ただし試験提供中(experimental)の機能で、組み合わせや会話の大きさによっては動かないことも。この記事は2026年7月11〜12日時点の実測です

ふだんのClaude Codeは、1人のAIと向かい合って作業します。/advisorを設定すると、そのAIが大事な場面で別のAIに「これでいいと思う?」と相談してから進むようになります。公式ドキュメントいわく、方針を決める前・同じエラーが続くとき・完成を宣言する前、が相談どころ(決まったルールではなく、あくまで「そうする傾向」です)。

advisorの仕組み図。実行役のAIが作業を進め、要所で会話の内容をまるごと参謀のAIに渡して相談し、助言を受け取って続きを進める流れ
実行役は要所で参謀に相談。会話がまるごと渡るのがポイントです

配送の仕事にたとえると、現場を回るドライバーが、迷う場面だけ運行管理者に電話で確認するイメージです。全部の判断を上に投げたら遅くなるし、電話ゼロだと事故が怖い。「要所だけ相談」はその間を取る形です。

このブログでは、Claude Codeの機能を1つずつ実測しながら紹介しています。Effort(考える深さの設定)が「1人のAIがどれだけ深く考えるか」、Workflow(複数のAIをチームで動かす機能)が「大人数の分業」だとすると、/advisorは「2人組で、相談しながら進む」働き方です。

始める前に知っておきたい注意3つ

先に注意からお伝えします。私はここで一度つまずきました。

注意①:デスクトップアプリでは使えません(ターミナル限定)。私がいつも使っているデスクトップアプリで「/advisor」と打つと、「ここでは認識されないコマンドです」と表示されました。この機能はターミナル(黒い画面)版のClaude Code専用です。ターミナルと聞くと身構えるかもしれませんが、起動して1行打つだけなら、はじめてClaude Codeに触ったときの3つの壁を越えた方なら大丈夫だと思います。

デスクトップアプリで/advisorと入力すると出る表示。「/advisorはここでは認識されないコマンドです。一部のコマンドはClaude Codeのターミナルでのみ使用できます」
デスクトップアプリでは使えない、という実際の表示(入力欄のすぐ上に出ます。タップで拡大)

注意②:一度設定すると、次のセッションにも残ります。/advisorの設定は保存され、セッションを立ち上げ直しても、そのまま参謀がついてきます。参謀への相談は毎回それなりの利用量を使うので、試し終わったら「/advisor off」で解除——これはセットで覚えておくのが安心です。

シンラボくん

シンラボくん

私はこの「設定が残る」を知らず、セッションを再開したときも参謀がついたままでした。使ったら解除まで、をセットで覚えておくと安心です。

注意③:試験提供中(experimental)の機能です
動き・料金の扱い・提供のされ方が今後変わる可能性がある、と公式が明言しています。対応はClaude Code v2.1.98以降。定額プラン(Pro/Max)とAPI課金のどちらでも使えますが、参謀に指定するモデルが自分のプランで使えることが前提です(Opusを参謀にするならMax向き。Proでの組み合わせは公式ドキュメントの確認をおすすめします)。

やってみた:Sonnetを実行役に、Opusを参謀にして記事の告知文を作る

実測の題材は、実際の私の作業にしました。公開済みのEffort記事のX(旧Twitter)告知文づくりです。実行役はSonnet(速くて安いモデル)、参謀はOpus(じっくり考えるモデル)。頼み方の文面に「方針を決める前と、最終出力の前に、必ずadvisorに相談して」と一言入れました。

作業が始まると、画面に「Advising…」という表示が出ます。実行役が参謀に相談している合図です。そして返ってきた助言が、想像より具体的でした。

ターミナルでAdvisingの表示が出て、参謀のOpusが助言を返した実際の画面。誇大表現の指摘と修正案が表示されている
同じOpus参謀に誇大表現の文を相談したときの実際の画面。「Advising…」の後、助言の全文が読めます(タップで拡大)

実行役のSonnetが書いた下書きには、「初期設定はhighで固定」「常に全力運転」という表現が入っていました。参謀のOpusはここを見つけて、「記事の芯は『初期設定はhighだが、変えられる』。固定と書いたら記事のメッセージと食い違う」と指摘。さらに「『3つだけ』という言い方は『簡単』の言い換えに寄っている」とも。どちらも実物のEffort記事と突き合わせて確認できた指摘でした。助言を受けて実行役が修正し、参謀がもう一度チェックを通した文面が、そのまま完成案になっています。

シンラボくん

シンラボくん

驚いたのは、参謀が私の執筆ルール(「必ず」「絶対」は使わない等)まで踏まえて助言していたことです。参謀には会話の内容がまるごと渡るので、私の細かい事情ごと見てくれるんですね。

使ってみて見えた3つのクセ

9回の実測は、決して多い回数ではありません。「仕様はこうだ」と言い切るのではなく、私が試した範囲ではこうだった、として読んでください。内訳はこうです。

試したこと 回数 結果
相談の指示なしで実作業(Sonnet×Opus参謀ほか) 2回 自発的な相談は0回
相談を指示して実作業(Sonnet×Opus参謀) 1回 相談2回とも成功・助言が的中
ごく短い会話(Fable参謀) 2回 成功
実際の作業サイズ(Fable参謀) 4回 全部エラー

※このほかに、公開前の追試を3回行っています(くわしくは後述の失敗談で)。

①相談は、頼まないと起きませんでした。相談の指示を入れずに同じ告知文タスクと記事の構成案タスク(どちらも3〜4分・20〜30ターンくらいの作業)を流したところ、2回とも参謀への自発的な相談はゼロ。公式も「呼ぶタイミングはAI任せ」としつつ「短いタスクでは価値が薄い」と書いています。4月に同じ「設定しただけでは相談されない」現象を報告している方もいました。使うなら、頼み方に「◯◯の前にadvisorに相談して」と一言入れる——今回の検証では、一言入れた回は毎回相談が実行されました。

②参謀は、毎回会話をまるごと読み直します。今回の実測では、相談のたびに会話全体が参謀に送られ、しかも毎回はじめから読み直していました(記録上、使い回しの形跡がゼロ)。つまり会話が長くなるほど、相談1回が重くなる構造です。私の環境では相談1回あたり約$0.6〜0.7が下限でした(円換算で約90〜105円・$1=150円で計算・会話の長さで変動します)。

料金の誤解がないように
MaxやProなどの定額プランなら、追加請求は発生しません(プランの利用枠を消費します)。本記事の「$」「円」表記は、API課金に換算した場合の参考値です。ただし参謀への相談も利用枠を使うので、定額プランでも時間帯の上限には早く届きます。「試し終わったら解除」をおすすめするのは、これも理由です。

③今回の1比較では、コストはほぼ2倍・時間は2.5倍でした。同じ告知文タスクを、Sonnet単体では187秒・$1.18相当、Opus参謀つき(相談2回)では470秒・$2.24相当。かかりが増えたぶん、単体では拾えなかった事実のズレを参謀が拾った——という交換です。なお、Opus単体で同じタスクをやった場合との比較はしていません。Claude Codeの料金の考え方と合わせてどうぞ。

実測比較の図。同じタスクでSonnet単体は187秒・1.18ドル相当で事実のズレに気づかず、Opus参謀つきは470秒・2.24ドル相当で事実のズレや言いすぎを検出して修正できた
今回の1比較。速さ・安さと、見つけてくれる指摘との交換でした

うまくいかなかった話:最上位モデルを参謀にしたら

ここからは失敗談です。公式のペア表には、実行役Sonnet×参謀Fable 5(この夏、期間限定で提供されている最上位モデル)という組み合わせも載っています。「最強の参謀では?」と期待して試しました。なお、このモデルの提供期間は切り替わる可能性があるため、読まれる時点では同じ条件で試せないかもしれません。

結果は、実際の作業サイズのタスクでは5回試して5回とも「Advisor unavailable(利用不可)」エラー。ごく短い会話なら4回中3回動きましたが、公式ドキュメントが「短いタスクでは参謀の価値は薄い」と言っているとおり、動く条件と役に立つ条件がすれ違っている状態でした。

Advising using Fable 5 の直後に Advisor unavailable(unavailable)と赤字でエラーが出た実際のターミナル画面。実行役が相談できなかったことを正直に報告している
相談しようとして「利用不可」。実行役はエラーを隠さず報告してくれました(タップで拡大)

原因を探るため、翌日にもう一度試しました(追試3回)。すると同じ数分の間に、ごく短い会話では成功→実際の作業サイズでは利用不可→直後の短い会話ではまた成功、という結果に。少なくともこの追試の時間帯では、参謀のサーバー全体が止まっているのではなく、会話が大きいときだけ相談できなくなるという分かれ方がはっきりしました(参謀に渡る量が7万トークン弱までは通りました。境目は特定できていません)。1日置いても、更新しても同じ。追試も含めた合計は、実際の作業サイズで6回中6回エラー・ごく短い会話で6回中5回成功でした。機能の欠陥だとは言えませんが、私の環境・この実測では実用になりませんでした、が事実です。

ちなみにエラー時の実行役は誠実で、対話画面では「参謀を待つか、相談なしで進めるか」を私に聞いてくれました。黙って進めないのは安心です。

もうひとつ、数少ない成功した回でも、参謀の助言の中身は画面で読めませんでした(Opusを参謀にしたときは全文が読めたので、モデルによる違いのようです)。

シンラボくん

シンラボくん

「効いているらしいけど、何を言われたかは見えない参謀」というのは、試験提供中の機能らしい体験でした。こういう荒削りな部分も含めて、実際に触ってみないと分からないものですね。

SNSで見かけた数字は、出典を確認してから

この機能を調べ始めたきっかけは、SNSで流れてきた「ベンチマークで92%を63%の価格で」という紹介でした。ところが、公式ブログと公式ドキュメントを読み込んでも、2026年7月11日時点で、この数字の根拠は確認できませんでした

公式ブログにある実数はこうです。Sonnet+Opus参謀で、コーディング試験(SWE-bench Multilingual)のスコアが+2.7ポイント、タスクあたりのコストは11.9%減。Haiku(いちばん軽いモデル)+Opus参謀では、調べ物の試験でHaiku単体の2倍超のスコアを出しつつ、Sonnet単体よりコスト85%減。十分すごい数字ですが、SNS版とはだいぶ違います。

ひとつ添えると、公式の数字はベンチマーク(決まった試験問題)での結果で、私の「ほぼ2倍」は自分のブログ作業でSonnet単体と参謀つきを比べた数字です。測っているタスクも比べ方も違うので、方向が逆に見えても単純には比べられません。私の実感——重くなる・組み合わせによっては不安定——とも前提が違います。良い数字も悪い体験も、どちらか一方だけ見て決めないのが安全だと感じました。

シンラボくん

シンラボくん

出どころの分からない数字は、公式ページで検索してから使う。地味ですが、今回もこのひと手間で、根拠の確認できない数字を記事に載せずに済みました。

結局どう使う?私の結論

「別のチャットを開いてOpusにレビューさせるのと何が違うの?」と思った方、鋭いです。私の答えは、参謀は会話の全部(途中の試行錯誤や、私の細かいルールまで)を自動で持ち込んでくれる点。レビュー用に状況を説明し直す手間がない、が/advisorの持ち味でした。

そのうえで、私の使い分けはこうなりました。

場面 私の選択 理由
ふだんの単発作業 Sonnet単体 速くて安い。品質も日常用途では十分でした
間違えたくない単発作業 Sonnet+Opus参謀
(相談どころを指示)
今回の実測で事実のズレを実際に拾ってくれた
公開するもの(記事など) 従来の多段チェック 参謀1人より、複数AIのレビュー体制のほうが手厚い(私の運用判断です)
シンラボくん

シンラボくん

私の場合、公開する記事にはすでに複数AIのチェック体制があるので、参謀は「そこまで大がかりにしたくない単発仕事」の隙間にちょうどはまりました。

ポイントは「常時オン」ではなく「ここぞの単発だけオン」にすることと、参謀の助言も鵜呑みにしないことです。今回は助言が正しかったですが、判断の最後は自分に残す前提で使っています。複数AIのチェック体制については3つのAIで1つの仕事をした話で、公開前のAI委員会の作り方はWorkflowの記事で紹介しています。

まとめ:参謀は「置くだけ」では働かない。でも頼み方しだいで効く

9回の実測と3回の追試をひとことでまとめると、「設定して終わりの魔法ではなく、頼み方とセットで効く道具」でした。相談は自分から頼む。解除も自分でする。そのひと手間を払うと、1人のAIでは拾えない間違いを拾ってくれることがある——そんな距離感です。

今日試すなら、この3ステップ
① ターミナルでClaude Codeを最新にする(claude update
/advisor opus で参謀を設定し、頼みごとに「◯◯の前にadvisorに相談して」と一言添える(※Proプランの方は、Opusを参謀にできるか公式ドキュメントの確認を)
③ 試し終わったら /advisor off で解除する(設定は次回にも残るため。解除・再設定は何度でもできます)

いちばん大事な注意
/advisorは試験提供中の機能で、挙動・料金の扱い・提供条件は今後変わる可能性があります。また、参謀の助言を含めAIの提案はまちがうことがあります。お金や公開物にかかわる判断は、自分の目で確かめてから実行してください。

Claude Codeの機能を「実測してから紹介する」シリーズは、Effort編スキルとHooks編もあわせてどうぞ。モデルの使い分けをもっと踏み込んで知りたい方には、実測の作業指針をまとめた有料note「「OpusをFableに近づける」|実測結果と作業指針1枚」もあります(文庫本1冊より安い価格です)。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次