皆さんは、FableとOpusの使い分けはどうされていますか?
Opus 5が出てから「もうFableは要らないのでは?」という声も見かけますが、実際に両方使ってみると、優劣というより一長一短だと感じています。今回は、私が今使っている「FableとOpus 5を同時に走らせる」構成を紹介します。
Opus 5で、Fableとの差は大きく縮まりました
新しいOpus(Opus 5・7/24発表)で、Fableとの差は大幅に縮まりました。Anthropic公式自身が「Fableの最前線の知能に、半額で肉薄する」と位置づけています(出典:Anthropicの公式発表)。公開ベンチマークの多くで並ぶか上回り、Fableの明確な優位は「最難関の推論・長時間の自律作業・質感の判断」に絞られてきた状況です。
公式発表で確認できる実測比較:
- CursorBench 3.2(コーディング):Opus 5はFable 5の最高スコアと0.5%差。タスクあたりのコストは半分
- OSWorld 2.0(PC操作):Opus 5がFable 5の最高結果を約1/3のコストで上回る
- ARC-AGI 3(未知の問題解決):Opus 5が次点モデルの3倍のスコア
- Fableが明確に上に残るのはサイバーセキュリティ系(これは意図的な設計とのこと)と、長時間の自律作業
4モデルの使い分け(私の整理)
- Haiku:最速・最安。分類や単純な変換、サブエージェントの下請け向き
- Sonnet:日常の主力。実装・下書き・リサーチ・定型チェックなど、作業量の8〜9割はこれで足ります
- Opus:深い推論と設計。計画立案・構成設計・複雑なデバッグなど「ターン数は少ないけど判断が重い仕事」に
- Fable:最高峰。数十分単位の自律作業や、曖昧な要求の汲み取り、仕上がりの質感判断に。ただし料金はOpusの2倍(API価格で$10/$50 vs $5/$25)
「Opusで計画を作り、Sonnetで実行する」は界隈でよく言われる型で、消費の構造とも噛み合います。公式に確認できる事実として、Opusの消費は1ターンあたりSonnetの数倍です。だからOpusを「少ないターンで済む重い判断」に絞れば、5時間ごとにリセットされる利用枠の減りを抑えつつ、品質の要所は押さえられます。
Fableをどう組み込むか:サブエージェントではなく「司令塔」
Fableは高性能なぶん消費が激しいので、「Fableを親にしてサブエージェントに作業させる」方式の紹介が多いと思います(note・Zennでもいくつか見かけます)。
今回紹介するのは、それに近いけれど少し違う使い方です。サブエージェント(1つのセッションの中の下請け)ではなく、独立した複数のセッションを同時に開いて、Fableのセッションを「司令塔」にする構成です。
複数セッションとは
Claude Codeのデスクトップアプリでは、セッション(会話)を複数並べて同時に走らせられます。セッションごとに文脈も作業も独立していて、モデルの選択も別々です。
画面の並べ方は2通りあります。ひとつは、サイドバーのセッションを画面へドラッグする方法。同じウィンドウの中に面が増えてグリッド状に整列し、私は普段これで4面を並べています(試しに増やしたら1画面に8面まで並びました)。もうひとつは、サイドバーのセッションをCmd+クリックする方法。こちらは画面の真ん中に独立したウィンドウとして開きます。独立しているのでグリッドの並びには入りませんが、そのぶん自由に動かせて、別のディスプレイにも出せます。同時に動かせる数の上限は公式ドキュメントには見当たりませんでしたが、実際に目で追えるのは4面くらいが現実的です。
私の場合はこんな並びです:
- 司令塔セッション:Fable
- 実働セッション×2〜3:Opus(重い調査・検証)/Sonnet(下書き・定型作業)
セッション間のやり取りとは
はじめに前提を1つ。ここから書く画面の並べ方とセッション同士のやり取りは、Claude Codeのデスクトップアプリの機能です。ターミナル(黒い画面)で使っている場合は、同じ言い方をしても動きません。
ここがこの構成の核です。セッション同士はお互いの存在を確認して、メッセージを送り合えます。
司令塔に構成を認識させるのに、特別な設定やスクショの共有は要りません。司令塔のセッションに「他に開いているセッションを確認して、Opusのセッションに調査を、Sonnetのセッションに下書きを頼んで」のように一言添えるだけで、司令塔が自分でセッション一覧を見て把握してくれます。
セッションがたくさん開いている場合の私のやり方は、実働セッションを立ち上げるときに、最初の指示文へ役割を書いておく方法です(「このセッションは◯◯の調査係」など)。その内容がそのままセッション名になるので、司令塔は一覧を見るだけで、どれが何係かを把握できます。
さらに私がやっているのは、セッション名に番号を振らせること(①調査/②下書き、のように)。こうしておくと、私からは「1に確認して」だけで通じますし、司令塔の側も宛先を取り違えにくくなります。心配なら司令塔に「送る前に、どのセッションに何を送るか言って」と一言足しておくと、取り違え送信も防げます。
進み具合の確認にスクショは要りません。司令塔が各セッションの最新のやり取りを直接読めるので、私は結果だけ受け取ります。

司令塔のFableが、実働セッションの進み具合を読み、次の指示を出し、上がってきた結果を検品する。私(人間)の承認が必要な場面——外部に送信する・公開する・消すなど——以外は、司令塔がセッション間で直接指示を回します。
つまり私は司令塔と話すだけで、細かい割り振りと検品はFableがやってくれる形です。
※似た仕組みの関連記事:複数のAIを台本どおりに動かす「Workflow」機能/実行役に参謀AIを1人つける /advisor

この構成にしても、止まるセッションがゼロになるわけではありません。狙いは止めないことではなく、同じ時間でこなせる量を増やすこと——そして指示と検品を分けたぶん、私の見落としを拾う目が1つ増えたことです。
この構成の効果は「相互ダブルチェック」
なぜOpusだけで完結させないのか。両モデルには公式ドキュメントにも書かれている性格の差があるからです。
- Opus 5には「タスクを完遂せず途中で『完了』と報告することがあるので、『全部終わってから完了と言え』と明示的に指示せよ」という趣旨の注意書きが公式ドキュメントにあります(出典:Anthropicの移行ガイド)。完遂力の穴は、Anthropic自身が認めて対策プロンプトを配っている挙動です
- 一方Fableの公式の強みは「長時間の自律作業」「曖昧な要求の汲み取り」。指示書・ルール・文脈を保ったまま最後まで走る力です
- ただし「仕様が明確に書かれた1つのタスクを解く力」では、OpusはすでにFable級です
この差を利用すると、Fableの見落としをOpusが、Opusの見落としをFableが見つける「相互ダブルチェック」が組めます。実際に私の環境では、実働のOpusが設計書を全行スキャンして、失効した古い基準の残存2件を見つけてきました。司令塔のFableは、その検出を受けて、正しい基準への一本化を裁定しています。作業の大半はSonnetに流し、Opusには重い調査や検証、Fableには指示と最終検品を任せています。高いモデル2つを下書きの主力にはしない、という分け方です。
※どこまでAIに任せるかの線引きは、「戻せるか×止まるか」で考える方法にまとめています。
司令塔には、どんな役割を与えているか
司令塔のセッションには、あらかじめ役割を決めてあります。ここで意外だったのは、進行管理役(PM)にしてもあまり機能しなかったことです。
人間のチームなら「進捗どう?」「納期は?」の管理に意味がありますが、AIのセッションは数分で終わるので、管理する納期がありません。管理してほしいのは進み具合ではなく、中身の質と、文脈のズレのほうでした。今の司令塔は、役割で言うとPM(進行管理)よりPdM(何を作るか決めて、出来を判定する人)に近い形になっています。
役割は毎回打ち込んでいるわけではありません。Claude Codeには、セッションを開くたびに自動で読み込まれる設定ファイル(CLAUDE.md)があるので、そこに書いておけば全部のセッションに効きます。司令塔だけに必要な細かい手順は別のファイル(自分用の手順書)にまとめておいて、司令塔を立てた時に読ませています。
書いてある中身は、だいたいこの6つです。
- 自分では実作業をしない。調査・実装・下書きは実働セッションへ送って任せる
- 任せる時は「何を/根拠はどこに/どういう手順で/終わったらどこへ報告」の4点を書く
- 上がってきた報告を鵜呑みにしない。成果物のファイルや実際の画面を自分で開いて突き合わせてから「完了」と言う
- 外部への送信・公開・課金・削除は、私(人間)が一言出すまで実行させない
- 実働セッションへ指示を出すときに「本人の承認済み」と書かせない。根拠になるファイルや私の発言そのものを渡して、受け手に確かめさせる
- 私への報告は「①今どうなっている ②何ができた(数字で)③私に要るもの(判断/待つだけ/不要)」に翻訳して、おすすめを一行添える
一番大事なのは1つめだと感じています。司令塔が自分で調べ物や執筆を始めてしまうと、そのぶんが丸ごと一番高いモデルの消費になるので、構成を分けた意味が薄れます。「あなたは手を動かさない人です」と決めておくだけで、この形はかなり安定しました。
逆に3つめを外すと、報告をそのまま信じて通してしまう場面が出ます。私の環境では、実働側が「問題なし」と返してきた画像を司令塔が実際に開いてみて、構図の矛盾を見つけたことがありました。
5つめは、最初につまずいて足した項目です。司令塔が「本人が承認しています」と伝えると、受け手は自分で確かめようがないので、ルールをきちんと守る面ほど手を止めます。止まるほうが正しい動きなので、直すのは司令塔の側でした。今は根拠の置き場所を渡して、受け手に自分で確かめてもらう形にしています。
ここに挙げた6つは、どんな作業でも共通して効いた土台の部分だと思っています。実際に何を任せるかは人それぞれだと思うので、あとはご自身の作業に合わせて足していくのがおすすめです。
私の場合は記事を書く仕事が多いので、「公開前は数字を必ず数え直させる」「言い切りの表現を見つけたら止める」といった、自分の失敗から増えた項目が並んでいます。最初から完璧な設定を作ろうとするより、事故が起きるたびに一行ずつ足していくほうが、結果的に自分に合った司令塔になりました。
どうやって計測しているか:利用額の「見える化hook」
計測に使っているのは、自作の小さな仕組みです。Claude Codeには「Claudeが返信し終わるたびに自動でスクリプトを走らせる」機能(hook)があり、そこに「このセッションが、もしAPI従量課金だったら日本円でいくらか」をモデル別単価で積算してmacOS通知に出すスクリプトを入れています。
- 会話ログに記録されたトークン数 × モデル別の公式単価(キャッシュ分も込み)で積算
- 返信のたびに「AI利用額(従量換算)|モデル名:このセッション ¥◯◯」と通知
- 実際の請求額とは別物で、「どのモデルにどれだけ食わせたか」を見える化するための従量換算値です
会話ログ自体は全部残っているので、同じ計算式で過去分を遡って集計もできます。
※hookそのものの説明はClaude Code Hooksで作業を自動記録する仕組みにあります。

Fableの消費枠はどれくらい節約できたか(検証済み)
体感で語らないために、同じタスクを3つの構成で実際に走らせて比較しました(費用は上の計算式で会話ログから機械集計。通知の表示額と1円単位で一致することを確認済みです)。
| 構成 | Fableの消費 | 総額(従量換算) |
|---|---|---|
| 司令塔構成(Fable司令塔+Opus実働+Sonnetサブ) | ¥628 | ¥1,381 |
| Fableメイン+サブエージェント構成 | ¥856 | ¥1,174 |
| Opusメイン+サブ構成(Fable不使用) | ¥0 | ¥668 |
分かったこと:
- Fable枠の温存は司令塔構成の勝ち(約27%減)。サブエージェント方式はサブの結果が全部Fableの文脈に戻ってくるので、そのぶんFableの消費が膨らみます
- ただし総額はサブエージェント方式のほうが安い。司令塔構成はメインのループが2本立つ分が上乗せになります。「総額より、枯れやすいFableの週次枠を守りたい」人向けの構成です
- 意外だったのは質:Claudeではなく外部のAI(Codex)に、どの構成の成果物かを伏せて採点させたところ、司令塔構成が1位でした。書く人と検品する人が別、という分業の形が効いた可能性があります
ちなみに、実働までSonnetに寄せた「Fable司令塔+Sonnetサブ」も別日に実測していて、そのときの総額は¥457(Fable¥265+Sonnet¥192)でした。タスクの規模が違うので上の表と直接は比べられませんが、軽い調査ならこの形が一番安くFableの頭を使えます。
正直な注記:どちらも1回だけの検証(調査系タスク)で、費用は従量課金に換算した仮想の金額です。参考として、直近7日間の運用実績でも、作業全体のうちFableの消費は約28%に収まっていました。
もう1つ、この数字を再現するうえで欠かせない運用があります。司令塔のセッションを、半日から1日で締めて新しく立て直すことです。司令塔には各面からの報告が次々に集まるので、使い続けるほど1回のやり取りで読み込む量が増えていきます。同じ働きをさせても、長く使った司令塔のほうが消費が大きくなる形です。上の27%は、司令塔をこまめに乗り換えた前提の数字だと思ってください。引き継ぎは、その日の残り作業を1枚のメモに書き出させて、新しい司令塔に読ませています。
このほか、使っていて感じる利点と注意点も添えておきます。
- 事故が隔離されます。セッションごとに文脈も作業コピーも独立しているので、実働の1面が変な方向に走っても、司令塔や他の面は無傷です。1本の長いセッションで全部やると、おかしくなった文脈がその後の作業に引きずられます
- モデルの切替忘れが起きません。面ごとにモデルを固定するので、「重い作業のつもりがSonnetのままだった」のような、1つのセッション内での切替ミスがなくなります
- 注意点は、同じファイルを2つの面に同時に触らせないこと。並行作業が衝突するので、私は面ごとに担当ファイルを分けています
Proプランの方へ
FableはProプランの利用枠に含まれていません(出典:公式ヘルプ)。使用クレジット(使った分だけの後払い課金・初期設定ではOFF)を自分で有効にすれば使えますが、プラン料金とは別の課金になるうえ、単価はOpusの2倍です。
なのでProプランの方は、この構成をひとつずらして「司令塔=Opus・実働=Sonnet」にするのが現実的です。実際、上の検証でもOpusメインの構成は総額が最安(Fable消費ゼロ)でした。構成の考え方(重い判断を上に、量を下に、検品を挟む)はそのまま使えます。
※プランそのものの選び方はClaude Codeの料金・Pro/Maxの選び方で比較しています。
おわりに
皆さんのやり方に近いもの、もっと良い型がありましたら、ぜひ教えてください。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
【訂正 2026-08-14】
公開時の本文で、失効した古い基準の残存2件について「Opusが見逃し、Fableが検品で見つけた」と書いていましたが、当時の作業ログを確認したところ、見つけたのは実働のOpus、その検出を受けて一本化を裁定したのが司令塔のFableでした。役割が逆になっていたため、本文を修正しました。

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